生産管理システムとは?できることと導入判断の目安をわかりやすく解説

生産管理システムとは?できることと導入判断の目安をわかりやすく解説

受注や在庫、工程をExcelや紙、ホワイトボードで管理していて、転記ミスや在庫のずれ、担当者にしか分からない作業に困っていませんか。
今のシステムのサポート終了を機に置き換えを考えていても、調べると製品紹介の記事ばかりで、自社に何が必要か判断しにくいものです。

この記事では、生産管理システムとは何かと管理できる範囲、名前の似たシステム(ERP・MES)との違いを解説します。
あわせて紹介するのは、困りごとから必要な機能を選ぶ方法、既製品・開発・見送りの判断の目安、小さく試して広げる進め方です。

この記事を運営するEPICsは、250件以上の開発実績を持つアプリ・システムの受託開発会社です。
業務システムでは「SaaS(インターネット経由で使う既製のソフト)で足りるならSaaSを」と、作らない選択肢も含めて中立に提案しています(出典:EPICs DX・業務システム開発支援)。

監修者

石森裕也(EPICs株式会社 CTO)
サイバーエージェントのグループ会社での経験を経てEPICsに参画。開発経験10年。専門は、新規事業のアプリ開発(MVP開発を含む)と、業務システムの開発・刷新。ノーコード・AI駆動開発・スクラッチのすべてで開発経験を持つ。EPICsでは100件以上の新規事業・業務システム開発に携わり、主要プロジェクトで技術責任者を務める。

中原啓(EPICs株式会社 エンジニア)
NTTデータビジネスシステムズでWebアプリケーション開発に従事した後、EPICsに参画。専門は、新規事業のアプリ開発と、業務システムの開発・刷新。PMとして、EPICsの新規事業・業務システム開発の主要プロジェクトで開発工程の全体を管理する。ノーコードとAI駆動開発の両方で開発経験を持つ。

この記事の結論

1.生産管理システムとは、受注から出荷までの情報を一つにつなぎ、生産管理を支えるシステム

2.既製品で足りるか作るべきかは、業務の独自性と困りごとの大きさで決まる

3.導入は業務の流れと困りごとの書き出しから始め、一部の業務で試してから広げる

目次

生産管理システムとは?受注から出荷までの情報を一つにつなぐ仕組み

生産管理システムとは、製造業で受注から生産計画、材料の手配、製造、在庫、出荷までの情報を一つにつなぎ、生産管理の業務を支えるシステムです。

部署ごとに分かれていた情報を一元管理できる点が、Excelや紙との大きな違い。
製造管理システムや工場管理システムと呼ばれることもありますが、製品によって管理できる範囲は違うため、呼び方よりも「何を管理できるか」で見るのが、自社に合うかを判断する近道です。

生産管理は「何を・いつ・どれだけ作るか」を決めて動かす仕事

生産管理とは、受注や需要の見込み(需要予測)をもとに、何を・いつ・どれだけ作るかを決め、材料の調達から出荷まで計画どおりに進める仕事です。

生産管理で使う用語の意味は、JIS(日本産業規格)の「生産管理用語」(JIS Z 8141、2022年改正)で定められています(出典:JIS Z 8141:2022 生産管理用語)。
生産計画のとおりに進めるには、営業・購買・製造・倉庫といった部署をまたいで、受注や在庫、作業の進み具合の情報をそろえることが欠かせません。

生産管理システムは、この仕事を人の代わりに行うものではなく、判断に必要な情報をそろえるための道具です。

受注から出荷までのデータが一本の流れでつながる

生産管理システムでは、一度入力した受注のデータが、生産計画や材料の手配、製造の指示、在庫の更新、出荷や原価の集計へと次の業務に引き継がれます。

流れを順に並べると、「受注→生産計画→所要量の計算→発注・製造の指示→実績・在庫の更新→出荷」。

紙やExcelでは、受注表から計画表へ、計画表から発注書へと工程ごとに転記や二重入力が起き、数字がずれる原因になりがちです。
システムなら、入力された実績や在庫がリアルタイムに反映され、各部署が同じ最新の状況を見られます。

目的は品質・コスト・納期のバランスを取ること

生産管理システムの目的は、品質・コスト・納期(QCD:Quality・Cost・Delivery)のバランスを取ることです。バランスが取れていれば、無理や無駄のない生産を続けられます。

この3つは、互いに引っ張り合う関係。在庫を多く持てば納期は守りやすい反面、保管や材料のコストが増えます。
急ぎの注文を優先すると、ほかの注文の納期や品質にしわ寄せが出ることもあるでしょう。
受注・在庫・進み具合の情報がそろっていれば、どこを優先するかを根拠をもって判断できます。

生産管理システムで何を管理できる?主な機能と範囲

生産管理システムでは、受注から出荷までの業務をひと続きで管理できます。
備える機能の範囲は製品によって違い、販売管理や会計まで含むものもあれば、工程管理だけに絞ったものもあるのが実情。主な機能は次の5つです。

  • 受注管理・生産計画
  • 所要量の計算・発注・外注の管理
  • 製造・工程・進捗の管理
  • 在庫管理
  • 品質管理・原価管理
生産管理システムは受注・生産計画・所要量の計算・発注・製造・在庫・出荷をひと続きで管理し、品質管理と原価管理が全体にかかる

受注と生産計画で「何を・いつまでに作るか」を決める

受注管理と生産計画の機能があれば、どの注文をいつまでに納め、そのために何をいつ・どれだけ作るかを決められます。

受注管理で記録するのは、どの取引先から何をいくつ、いつまでに納めるかと、まだ出荷していない受注(受注残)です。
生産計画では、受注と在庫に、見込生産(注文を受ける前に、売れる見込みで作る生産)なら販売の見込みも加えて、作る品目・数量・時期を決定。計画が受注とつながっているので、注文の追加や変更があったときに、どの計画に影響するかがすぐ分かります。

納期が近い受注を一覧で確かめ、作る順番を決めるのにも便利です。

所要量の計算と発注で、材料を過不足なく手配する

所要量の計算(MRP:資材所要量計画)と発注の機能を使うと、材料や部品を過不足なく手配できます。生産計画に必要な材料や部品が、いつまでに・いくつ足りないかを計算できるためです。

計算のもとになるのは、生産計画と在庫、そして部品表(BOM:製品1つを作るのに必要な部品と数量をまとめた表)。
製品の注文数を入れれば不足する部品だけが分かるため、発注漏れや作りすぎ(過剰在庫)、欠品を防ぎやすくなります。
発注管理では、まだ届いていない発注(発注残)も確認可能。工程の一部を外部に頼む場合は、外注管理で依頼内容や支給する材料も管理できます。

製造・工程・進捗の管理で、遅れに早く気づける

製造・工程・進捗の管理機能では、現場への作業指示と実績の記録がつながり、計画に対する遅れに早く気づけます。

製造管理は作業の指示を出して作った結果(実績)を記録する機能、工程管理は工程ごとの作業量(負荷)を見て、特定の工程に作業が偏らないよう平準化する機能です。
進捗管理を使えば、計画に対して今どこまで進んでいるかが一目で分かります。納期に間に合わない恐れのある指示を一覧で見つけ、優先順位を入れ替えるといった対応も可能です。

ただし、現場の実績を誰が、どの手段(タブレットやバーコードなど)で入力するかを決めておかないと、計画と実態がずれてしまいます。

在庫管理で、今ある数とこれから動く数がそろう

在庫管理の機能で、材料・部品・作りかけの品(仕掛品)・製品がどこにいくつあるかと、入出荷や製造でこれからどう動くかを、同じ画面でそろえて見られます。
Excelの在庫表では今ある数しか分からないことが多く、入荷や出荷、製造で使う予定を含めた「これから動く数」まで見られる点が大きな違いです。
入出庫を記録し、製造で使った材料の数が在庫から差し引かれるため、帳簿の数と実際の数のずれにも気づきやすくなります。

あらかじめ適正な在庫の量を決めておけば、作りすぎや欠品の防止にもつながるでしょう。

品質と原価の管理で、不良の原因と製品ごとの利益が分かる

品質管理と原価管理の機能で、不良がどこで・なぜ起きたかと、製品や注文ごとにいくらかかって利益が出ているかが分かります。品質管理で記録した受け入れ検査や工程ごとの検査の結果、不良の数と原因は、再発防止の手がかりになるでしょう。
ロット(同じ条件でまとめて作った単位)ごとに記録しておけば、不具合が出たときに、どの材料を使い、どこへ出荷したかをさかのぼることも可能です(トレーサビリティ)。

原価管理では、材料費・作業時間(労務費)・外注費などを製品や注文の番号(製番)ごとに集計し、見積もりと実際の原価を比べられます。
利益が出ていない製品が分かれば、価格の見直しや工程の改善にもつなげやすくなるはずです。

自社の困りごとから、必要な機能を逆引きする

生産管理システムの機能は、すべてをそろえる必要はありません。

受注・在庫・工程・品質・原価といった機能を自社に当てはめるときは、今起きている困りごとから逆にたどると、必要な機能が見えてきます。
この章では、困りごとと効く機能の対応表をもとに、必要な機能を絞り込む方法を紹介。

困りごとごとに、効く機能は決まっている

紙やExcelで生産管理を回している会社で起きやすい困りごとには、それぞれ効く機能があります。自社に近い困りごとの行を探し、表の「効く機能」の列を見てください。

困りごと(よくある場面)起きている原因効く機能
同じ内容を何度も転記・入力している受注表・計画表・発注書が別々になっている受注管理から生産計画・発注へのデータのつながり
在庫の数が帳簿と実際で合わない入出庫や製造での使用の記録が遅れる・漏れる・在庫管理(入出庫の記録)
・製造で使った分の引き落とし
取引先に納期をすぐ答えられない受注残・進捗・材料の入荷予定がばらばらの場所にある・受注管理
・進捗管理
・発注残の管理
材料が足りない・余る必要な数を勘と経験で計算している・所要量の計算(MRP)
・部品表(BOM)
製品ごとの利益が分からない材料費や作業時間が製品・注文に結び付いていない原価管理(製番ごとの集計)
不良の原因や出荷先をさかのぼれない検査記録が紙で、ロットと結び付いていない・品質管理
・ロットの管理
担当者がいないと状況が分からない情報が個人のExcelや頭の中にある情報の一元管理(すべての機能の土台)

当てはまる行が複数あっても、すべての機能が同時に必要になるわけではありません。損失や手間が大きい困りごとから順に、検討する機能を絞り込めます。

必要な機能は、困りごとの大きい順に絞ればよい

必要な機能は、困りごとのうち損失や手間が大きいものから順に並べ、上から絞り込めば十分です。機能を増やすほど費用がかかるうえ、入力する項目や覚える操作も増え、現場が使いこなせなくなりかねません。

たとえば、在庫のずれと納期回答の遅れに最も困っているなら、まず在庫管理と進捗管理から考えるのが現実的。
機能には、前提になる順番もあります。原価管理は、在庫や実績の記録が正しく取れるようになってから効いてくる機能です。
土台になる記録から整える方が、効果を出しやすいでしょう。

ルールが決まっていない困りごとは、システムでは解けない

困りごとの原因が、誰が・いつ・何を記録するかといった仕事の決まりごとにある場合、システムを入れるだけでは解決しません。

システムは記録された情報をつなぐ道具なので、入力されない情報や、人によって付け方が違う品番などの基本データ(マスタ)は、システムの中でもずれたままになるからです。
たとえば、在庫のずれの原因が「出庫の記録を後回しにしている」ことなら、先に記録のルールと担当を決める方が早く片付くでしょう。
こうした場合はシステム化を急がず、業務の決まりごとを先に整える選択肢もあり、後の章で「まだ入れなくてよい場合」として紹介します。

業務システムの開発・見直し、まずは無料でご相談ください

EPICsは250件以上の開発実績をもとに、現場の課題整理から業務システムの開発・導入・定着まで一気通貫で支援します。どの業務からシステム化すべきか、という段階からご相談いただけます。

生産管理システムを導入するメリットとデメリット

生産管理システムを入れると、会社全体の情報がそろって判断が早くなり、人に頼っていた管理が仕組みとして残ります。一方で、費用や入力の手間がかかり続け、業務の見直しや現場への定着にも時間がかかるため、両方を見て判断することが大切です。

  • メリット:会社全体の情報がそろい、判断が早くなる
  • メリット:人に頼っていた管理が、仕組みとして残る
  • デメリット:費用と入力の手間が、導入後もかかり続ける
  • デメリット:業務の見直しと現場への定着に、時間がかかる

会社全体の情報がそろい、判断が早くなる

営業・製造・購買・倉庫が同じ最新の情報を見られるようになり、部署どうしの確認が減って判断が早くなります。
急ぎの注文が入ったときも、在庫と材料の入荷予定、工程の空き具合をその場で確かめ、受けられるかどうかを答えられるでしょう。

経営者にとっては、受注から出荷までの状況や製品ごとの原価を、集計を待たずに確認できる点も、見える化の大きな利点です。
さらに、記録が貯まれば、過去の受注や在庫の動きをもとに計画を見直すなど、データを使った改善の土台にもなります。

人に頼っていた管理が、仕組みとして残る

ベテランの経験や個人のExcelに頼っていた段取りや計算が、システムの手順とデータとして残るため、担当者が替わっても業務が止まりにくくなります。

特定の人にしか分からない状態(属人化)が和らぐのは、部品表や工程の情報、計算のルールが決まった形で登録され、誰が作業しても同じ結果になりやすいからです。
たとえば、材料の必要数の計算を担当者の勘に頼っていた会社でも、計算の方法がシステムに残れば、引き継ぎは難しくありません。
仕事のやり方がそろう(標準化)と新しく入った人も覚えやすくなり、人手不足に悩む会社では業務の効率化にもつながります。

費用と入力の手間が、導入後もかかり続ける

生産管理システムは、導入時の費用だけでなく、利用料や保守、業務の変化に合わせた改修の費用が導入後もかかり続けます。現場では、実績や入出庫を入力する手間も増える点に注意が必要。

システムの情報は入力された分しか正しくならないため、入力が遅れたり漏れたりすると、計画と実態がずれて使われなくなりかねません。
導入を判断するときは、初期費用だけでなく、こうしたランニングコストと現場の負担まで含めて見積もることが大切です。
入力の手間は、バーコードやタブレットを使うことで減らせる場合もあります。

業務の見直しと現場への定着に、時間がかかる

生産管理システムを入れるには、品番の付け方や記録のルールなど業務のやり方をそろえる必要があり、現場が使いこなすまでにも時間がかかります。既製品を使う場合は、システムの決まった手順に業務を合わせる部分も出てくるでしょう。

既製品でも独自に作る場合でも、入力する人がその目的を理解していなければ、入力が後回しになって現場に定着しません。
この負担を小さくする進め方(一部の業務で試してから広げる、現場を巻き込む)は、後の章で紹介します。

生産管理システムとERP・MESの違いは?

製造業で使われる生産管理システム・ERP・MESの違いは、管理する範囲です。ERP(統合基幹業務システム)は、会計・人事・販売なども含めた会社全体を管理します。
生産管理システムは受注から出荷までの生産、MES(製造実行システム)は工場の現場が対象です。

製造業で使われるシステムの全体像は、製造業のシステムの種類と選び方の記事で解説しています。

管理する範囲が、会社全体・生産・現場の順に狭くなる

生産管理システム・ERP・MESは管理する範囲が違い、ERPが最も広く、生産管理システム、MESの順に狭く細かくなります。主な違いは次の表のとおりです。

比較項目生産管理システムERPMES
管理する範囲受注から出荷までの生産の業務・会計
・人事
・販売
・購買
・生産など会社全体
・工場の現場
・ライン
・設備
主な目的品質・コスト・納期のバランスを取る会社全体の情報をまとめて経営を効率化する現場の作業を計画どおり、ムダなく進める
主な機能・生産計画
・所要量の計算
・在庫
・工程
・原価など
・会計
・人事
・販売管理
・生産管理など
・作業指示
・実績の収集
・設備の稼働状況
・品質の記録など
扱う時間の単位(目安)日〜月の計画月次の決算など会社全体の動き分・秒単位の現場の動き
管理する範囲はERPが会社全体、生産管理システムが受注から出荷までの生産、MESが工場の現場で、ERPから順に狭く細かくなる

生産管理システムが「何を・いつ作るか」という計画を、MESが「現場でどう作られているか」という実行を担う関係にあり、両方をつなげて使うこともあります。

自社の困りごとが及ぶ範囲で、どれから考えるかが決まる

生産管理システム・ERP・MESのどれを考えるかは、名前ではなく、自社の困りごとがどの業務の範囲に及んでいるかで決まります。

受注・在庫・工程・原価など生産の業務で困っているなら生産管理システム、会計や販売までまとめて見直したいならERP、設備やラインの細かな動きを把握したいならMESが候補です。
実際の製品は境目がはっきりせず、生産管理の機能を厚く持つERPや、販売管理まで含む生産管理システム、MESと機能が一部重なる製品もあります。そのため、製品の分類より、自社のどの業務をつなぎたいかを先に決める方が判断を誤りにくいでしょう。
すでに会計や販売管理のソフトを使っている場合は、それとどう連携させるかも検討の材料になります。

生産管理システムにはどんな種類がある?

生産管理システムの種類は、自社の作り方(生産方式)に合う型と、クラウド型(インターネット経由で使う形)・オンプレミス型(自社のサーバーに入れて使う形)という提供形態の2つの軸で整理できます。
なお、既製品を使うか自社に合わせて作るかという導入手段の違いは、次の章のテーマです。

作り方(生産方式)によって、得意な型が分かれる

生産管理システムは、作り方(生産方式)によって、得意な型が次の3つに分かれます。自社の作り方に合わない型を選ぶと、業務に合わない部分が増えてしまうため注意が必要です。

  • 個別受注生産に強い型:注文ごとに仕様が違う製品を作る生産(多品種少量の生産に多い)
  • 繰返生産に強い型:同じ製品を繰り返し作る生産。見込生産を含む(量産に多い)
  • 両方に対応する型

個別受注生産では、注文ごとに番号(製番)を付けて材料や原価を追う管理が中心。一方、繰返生産では、在庫の基準やロットでの管理、計画の立て方が中心になります。
組立・加工・配合(食品や化学品など)といった業種の違いによっても、必要な管理項目(部品表、工程、配合の比率、賞味期限など)は変わるため、自社の業種に合うかも確かめておきたいところです。

クラウド型とオンプレミス型では、費用のかかり方と自由度が違う

クラウド型は月々の利用料で始めやすく、オンプレミス型は業務に合わせやすい代わりに、導入時の費用と保守の体制が必要になります。違いは次の表のとおりです。

提供形態費用のかかり方始めやすさ業務に合わせる自由度向いている場合
クラウド型月々の利用料が中心始めやすい限られやすい・早く始めたい
・社内にシステムの管理者がいない
オンプレミス型導入時の費用と保守費が中心準備に時間がかかる高い・独自の業務に細かく合わせたい
・社内で管理できる

生産管理システムは既製品で足りる?自社に合わせて作るべき?

既製品で足りるか、作るべきかは、業務の独自性と困りごとの大きさで決まります。判断しやすいよう、次の4つの場合に分けて整理しました。

  • 業務が一般的な流れに近いなら、既製品で足りる
  • 独自の工程や管理が強みなら、作る方が向く
  • 既製品を使い、足りない部分だけ作る
  • 困りごとが小さいうちは、まだ入れなくてよい
既製品で足りるか作るべきかは業務の独自性と困りごとの大きさで決まり、既製品・作る・組み合わせる・まだ入れないの4つで考える

EPICs株式会社CTO 石森裕也からのコメント

当社では、業務システムの相談を受けたとき、最初から作る前提では考えません。まず、既製品や今使っているシステムの一部の改修で足りないかを確かめ、それでも足りない業務だけを作る範囲として切り出します。切り出した部分も、独自の流れやルールが多い業務、書類の読み取りや分類のような処理、止まると困る基幹の部分というように、業務の性質ごとに作り方を変えるのが当社の進め方です。作る範囲を絞るほど、開発の費用も、作った後の保守の負担も抑えやすくなります。

業務が一般的な流れに近いなら、既製品で足りる

受注・在庫・工程の流れが一般的な形に近いなら、既製品(パッケージやクラウド型のSaaS)の生産管理システムで十分です。既製品の画面や手順に業務を合わせられるかが、見極めのポイント。
早く始めたい、導入時の費用を抑えたい、同じ業種での使われ方をそのまま参考にしたいといった場合に向いています。

反対に、独自の工程や管理項目が多いと、合わない部分を直す(カスタマイズする)費用が膨らみがちです。
合うかどうかは、体験版やデモで、自社の実際の注文1件を受注から出荷まで最後まで流してみると見えやすくなります。

独自の工程や管理が強みなら、作る方が向く

他社にない工程や管理の方法が自社の強みなら、自社の業務に合わせて作る(個別に開発する)方が向いています。既製品に合わせると強みが失われたり、合わない部分を直す費用が膨らんだりしやすいためです。

特に、独自の工程・管理項目が多い、今使っている他のシステムと連携させる必要がある、業務の変化に合わせて直し続けたいといった会社には合うでしょう。一方、何を作るかがまだ決まっていない、作った後の保守を誰が担うか決めていない段階では向きません。

作り方には、ノーコード(プログラムを書かずに画面の操作で作る方法)、AI駆動開発(AIにプログラムの作成を手伝わせる開発)、従来の開発(スクラッチ:一からプログラムを書く方法)があり、機能ごとに使い分ける方法もあります。

既製品を使い、足りない部分だけ作る方法もある

既製品と作るの二択ではなく、既製品を中心に使い、既製品にない部分だけを作ってデータでつなぐ方法もあります。たとえば、受注・在庫・原価は既製品で管理し、現場が使う実績の入力画面や自社独自の帳票、特殊な計算だけを作るといった形です。

大半の業務は既製品に合うものの、一部だけどうしても合わない会社に向いています。
ただし、既製品と作った部分をつなぐ仕組み(データ連携)の設計と、両方の保守が必要です。既製品の仕様が変わったときの影響も、あらかじめ考えておかなければなりません。

困りごとが小さいうちは、まだ入れなくてよい

扱う品目や注文が少なく、困りごとによる損失や手間がシステムの費用に見合わないうちは、生産管理システムをまだ入れなくても構いません。記録のルールがまだ決まっていない場合も同じです。

困りごとの逆引きの章で触れたように、先に記録のルールと担当を決め、Excelなど表計算ソフトの共有のしかたを整えるだけで、困りごとが収まることもあります。「生産管理システムはまだいらない」と判断してよいのは、こうした場合です。
ただし、今のシステムのサポート終了や担当者の退職など、期限がある場合は話が別。先送りにせず、置き換えの検討を始めましょう。

業務システムの開発・見直し、まずは無料でご相談ください

EPICsは250件以上の開発実績をもとに、現場の課題整理から業務システムの開発・導入・定着まで一気通貫で支援します。どの業務からシステム化すべきか、という段階からご相談いただけます。

生産管理システムの導入は何から検討する?小さく試して広げる進め方

生産管理システムの導入は、業務の流れと困りごとを書き出すことから始め、一部の業務で試してから全体に広げると、失敗の影響を小さく抑えられます。一度に全部を入れないことが基本で、進め方のポイントは次の4つです。

  • 最初に、業務の流れと困りごとを書き出す
  • 一部の業務で試してから、全体に広げる
  • 効果を測る数字は、入れる前に決めておく
  • 現場が入力し続けられる仕組みを先に作る
生産管理システムの導入は、業務の書き出しと効果を測る数字の決定の後、一部の業務で試し、結果を見て広げる・作り直す・やめるを判断する

EPICs株式会社CTO 石森裕也からのコメント

当社では、開発に入る前の業務診断で、現場の実態を確かめることを大切にしています。社内で書き出した業務の流れと、現場でホワイトボードや口頭のやりとりで行われている調整が、ずれていることがあるためです。このずれを導入前に見つけておくと、運用後に起きそうな問題や仕様の抜けを先に洗い出せます。近郊の企業で業種によっては、現場の方に話を聞いたり、工程を見たりするために訪問することも。

最初に、業務の流れと困りごとを書き出す

生産管理システムの検討で最初にやることは、製品を探すことではなく、自社の業務の流れと困りごとを書き出すことです。書き出しておきたい項目は次のとおり。

  • 受注から出荷までの業務の流れ
  • 今使っているExcel・紙・ホワイトボードと、それぞれを誰が更新しているか
  • 困りごとと、その損失や手間の大きさ(優先順位)
  • すでに使っている会計や販売管理のソフト

業務の流れと困りごとを書き出していないと、製品の説明を聞いても自社に合うかを判断できず、見積もりの条件もそろいません。書き出したものは、社長や社内に検討の必要性を説明する材料にもなります。
製品を比べる段階では、書き出した困りごとを解決できるかを基準に見ると、比べやすくなるでしょう。

一部の業務で試してから、全体に広げる

生産管理システムは、最初から全部の機能を全部の部署で使い始めるのではなく、困りごとの大きい一部の業務で試してから広げるのが安全です。試す範囲は、在庫管理だけ、1つの工程だけといった程度で構いません。

一度に全部を入れると、合わない部分が見つかったときの手戻りが大きく、費用もまとめて必要になります。小さく試験導入(パイロット)すれば、合わない部分を早く見つけて直せるでしょう。
試した後は、そのまま広げる、作り直す、やめるの3つから判断します。既製品の場合も、体験版や一部の機能から始められるかを確かめておくと安心です。

効果を測る数字は、入れる前に決めておく

効果を測る数字は、生産管理システムを入れる前に決め、今の値を記録しておくと、導入後に効果を比べられます。効果を測る指標(KPI)には、困りごとに直結する数字を選ぶのが基本です。

たとえば、在庫の帳簿と実際の差、納期を答えるまでにかかる時間、転記や集計にかかる作業時間、納期遅れの件数などが挙げられます。
導入前の数字を取っていないと、導入後に「楽になった気がする」以上の説明ができません。社長への報告や、広げるかどうか・次の投資をどうするかの判断も難しくなってしまいます。

現場が入力し続けられる仕組みを先に作る

生産管理システムは現場が入力し続けて初めて役に立つため、入力する人・タイミング・手段を導入前に決め、現場を検討に巻き込むことが欠かせません。
導入後の入力の手間や定着の負担は、次のような工夫で小さくできます。

  • 入力する人に、何のために入力するのかを伝える
  • タブレットやバーコードで、入力の手間を減らす
  • 簡単な手順書(マニュアル)を用意する
  • 現場の困りごとを集めて、改善を続ける

生産管理のシステム化ならEPICs

生産管理システムの検討は、業務の流れと困りごとを書き出すところまでなら社内で進められます。一方で、既製品で足りるのか、作るならどこまで作るのか、どの業務から試すのかの判断は、専門家と一緒に整理した方が迷いにくいでしょう。
EPICsは、生産管理のシステム化を現場の業務診断から始め、既製品で足りるかどうかも含めて中立に提案する受託開発会社です。アプリ・業務システムの開発実績は250件以上。

業務診断でどの業務からシステム化すべきかを見極めたら、まずは一部の業務で試すパイロット開発から。結果を見て「拡げる・作り直す・止める」を判断しながら段階的に広げるため、総額を一度に負担する必要はありません。
診断から開発まで1社で担い、オプションで教育やマニュアル整備などの現場定着支援も行っています。

費用の目安は、業務診断が30万円〜(本開発を依頼する場合は全額充当)、一部業務のパイロット開発が50万円〜です。いずれも下限の目安で、対象にする業務の範囲によって変わります。

まずは自社の業務の流れと困りごとを整理し、どこから手を付けるかを専門家と一緒に決めることから始めてみてください。

出典:EPICs アプリ・システム受託開発サービス/EPICs DX・業務システム開発支援

中小企業でも生産管理システムは必要ですか?

必要かどうかは会社の規模ではなく、困りごとの大きさで決まります。在庫の数のずれや納期回答の遅れ、転記の手間による損失がシステムの費用に見合うなら、中小企業でも検討する価値は十分にあるでしょう。反対に、扱う品目や注文が少なく、誰が・いつ・何を記録するかといったルールを整えるだけで困りごとが収まるなら、まだ入れなくても構いません。補足:今使っているシステムのサポート終了や担当者の退職など、期限がある場合は先送りにせず、置き換えの検討を始めることが大切です。

なぜ生産管理システムを入れても、現場で使われなくなることがあるのですか?

入力が後回しになると、システムの数字が実態とずれてしまうからです。システムは入力された情報しか正しくならないため、実績や入出庫の記録が遅れると数字が信用できなくなり、現場は結局ホワイトボードやExcelでの調整に戻ってしまいます。これを防ぐには、入力する人・タイミング・手段を導入前に決め、何のために入力するのかを現場に伝えることが欠かせません。補足:タブレットやバーコードで入力の手間を減らし、一部の業務で試しながら広げると、現場に定着させやすくなります。

クラウド型の生産管理システムとは何ですか?

クラウド型の生産管理システムとは、提供会社のサーバーにインターネット経由でつないで使う形の生産管理システムです。自社でサーバーを用意する必要がなく、月々の利用料で始めやすいのが特徴。一方で、業務に合わせて変えられる範囲は限られやすい傾向があります。自社のサーバーに入れて使うオンプレミス型は、業務に合わせやすい代わりに、導入時の費用とサーバーの管理・保守の体制が必要です。補足:早く始めたい場合や社内にシステムの管理者がいない場合はクラウド型、独自の業務に細かく合わせたい場合はオンプレミス型が候補になります。

MESは生産管理システムの一種ですか?

いいえ、MES(製造実行システム)は生産管理システムとは別のシステムで、管理する範囲が違います。生産管理システムが受注から出荷までの「何を・いつ・どれだけ作るか」という計画を中心に扱うのに対し、MESは工場の現場で作業の指示や実績、設備の動きを細かく扱うシステムです。両方をつなげて、計画と現場の実行を連動させて使うこともあります。補足:実際の製品には生産管理システムとMESで機能が一部重なるものもあり、境目ははっきりしません。どちらを考えるかは、自社の困りごとが計画の範囲にあるか、現場の細かな動きにあるかで判断すると分かりやすくなります。

業務システムの開発・見直し、まずは無料でご相談ください

EPICsは250件以上の開発実績をもとに、現場の課題整理から業務システムの開発・導入・定着まで一気通貫で支援します。どの業務からシステム化すべきか、という段階からご相談いただけます。

この記事を書いた人

石森裕也のアバター 石森裕也 EPICs株式会社 CTO

EPICs株式会社 CTO。サイバーエージェントのグループ会社での経験を経てEPICsに参画。開発経験は10年で、これまで100件以上の開発に従事。ノーコード・AI駆動開発・スクラッチ開発のいずれにも対応し、EPICsが手がける新規事業開発・業務システム開発の多くを中心メンバーとして担当している。

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